2011年10月17日

獣医療における最先端治療5

J-ARM5th_2.jpgJ-ARM5th_1.jpgFです、こんにちは。
随分と間が空いてしまいましたが、獣医療における最先端治療その5をお届けいたします。

 
〜獣医学でも最先端治療を〜
         「幹細胞治療を実施した脊髄損傷症例」  

今回お話します幹細胞治療は、まさに「再生医療」です。
怪我や病気によって失われた機能を「再生」させることができるようになるのです。これまでにも人工心臓や人工関節など、代替させる「モノ」はありましたが、それらは生体にとってすべて「異物」であり、拒絶の対象でした。

臓器移植に関しても同様で、一卵性双生児間などの例外を除き、生涯に渡り免疫抑制剤や定期的な検査が必要不可欠であることはご存じの通りかと思います。
 そこへ新たな光をもたらしたのが、幹細胞でした。 さまざまな組織に分化する能力を持つ幹細胞。胚性幹細胞(Embryonic Stem cellsES細胞)は受精卵から得られ、その全能性に大きな期待が寄せられますが、倫理的な問題が大きく、またがん化のリスクもあるため、現状では現実的ではありません。

また、受精卵ではなく体細胞由来の人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cellsiPS細胞)の開発は、倫理的問題はクリアできたものの、がん化のリスクが高く、また培養に時間がかかるため、こちらも実用化までには至ってはおりません。
 
そこで注目を浴びるのが、体性幹細胞、主に骨髄液に含まれる骨髄幹細胞や皮下脂肪に含まれる脂肪幹細胞です。ES細胞やiPS細胞ほどの分化能はありませんが、体細胞由来ということでもちろん倫理面はクリアできていますし、自己の細胞ですから拒絶反応もありません。また、1990年後半からヒト医療でも実際に臨床応用されています。

また近年、脂肪組織の中に幹細胞が骨髄に比べ高い比率で含まれていることが分かり、骨髄よりも採取が容易であることから、特に注目されています。


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2011年06月07日

獣医療における最先端治療C

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    「免疫細胞治療「DC+CAT」を実施した骨肉腫症例」 

今回は、犬の骨肉腫に免疫細胞治療を施した症例をご紹介いたします。骨肉腫は、早期発見・早期治療を行ったとしても肺転移が高頻度に見られる、悪性度の高い腫瘍のひとつです。 この症例で用いられた免疫細胞治療は「樹状細胞(Dendritic CellsDC + 活性化リンパ球療法(CAT = DC + CAT療法」と呼ばれ、前回お話ししましたCAT療法と、腫瘍を認識しその抗原を提示する能力を持つリンパ球であるDCを培養・増殖させる、という2つの療法を組み合わせた治療法です。 CAT療法は「免疫力の底上げ」を狙った治療法であり、活性化したリンパ球がすべて腫瘍を攻撃するとは限りません。
しかし、抗原提示能を持つDCを増やし、抗原である腫瘍を他のリンパ球に認識させることができれば、より効率的に腫瘍細胞を攻撃できるようになります。分離したDCに腫瘍抗原を提示させるにはがん組織と共培養して感作させる必要がありますが、腫瘍やその周囲に直接注入できる場合は共培養は必要ありません。
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2011年05月16日

獣医療における最先端治療B

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今日は、3回目です。         

  
「獣医学でも最先端治療を」
 「免疫細胞治療「CAT」を実施した不完全切除の乳腺がん症例」〜   

 今回は、犬の乳腺腫瘍(不完全切除)に免疫細胞治療を施した症例をご紹介いたします。犬の乳腺腫瘍は、未避妊のメスで最も多く認められる腫瘍として知られ、日常診療で遭遇する頻度の高い腫瘍性疾患のひとつです。
 この症例で用いられた免疫細胞治療は「活性化リンパ球療法(CD3 Activated T cellsCAT療法)」と呼ばれ、患者から採取した血液を遠心分離によりリンパ球を分離し、正常T細胞を特異的に活性化させる専用培地にて2週間ほど培養を行い、T細胞を増殖(約1,000倍)・活性化させ、静脈点滴で患者の体内に戻す、というものです。CAT療法は、大きな腫瘍を小さくするという効果よりも、むしろ全体的な免疫力の底上げを誘導し、免疫力の上昇によって腫瘍細胞を攻撃する、という効果が期待できます。
 
この症例では、腫瘍の進行を遅らせるため、そしてQ.O.L.Quality Of Life)の維持を目的として、CAT療法単独の治療が行われました。術後約70日頃から同約220日頃までの間、計6回のCAT療法が実施され、同約280日頃の検査では「全身状態は極めて良好で、局所再発や遠隔転移は認められなかった」そうです。 その間、自宅にて良好なQ.O.L.の維持が認められました。ご家族の評価は、 ・生活状況は極めて良好・元気、食欲に問題なし・これまでの生活の中で、最も生活力に溢れている とのことでした。 その後、残念ながら術後約370日頃に再発・転移が認められ、同約380日頃に自宅で息を引き取ったそうです。

この症例は、チクサン出版社「CAP201012月号に詳しく紹介されています。 理想は腫瘍の完全消失でしょう。しかし、手術時の微小な取り残しや遠隔転移など、現実にはなかなか難しいことだと思います。今回ご紹介したCAT療法には、大きな腫瘍を消失させるほどの効果はありませんが、腫瘍の縮小や転移を防ぐ効果が期待できます。いわば、腫瘍との共存ですね。腫瘍の完全消失だけが「がんの治療」ではないのかもしれません。特筆すべきは免疫細胞療法を選択された多くの飼い主様から、従来のがん治療で低下したQ.O.L.が向上した、との声を頂けることかもしれません。 次回は、腫瘍を特異的に攻撃できる細胞治療についてお話しいたします。
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2011年04月27日

獣医療における最先端治療A

前回の続きです。続きを読む
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2011年04月25日

獣医療における最先端治療について@

Fです、こんにちは。

今日は、前回告知した獣医療サービスに関する最新情報を紹介します。続きを読む
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2011年04月23日

獣医療サービスに関する情報を今後出していきます

Fです、こんにちは。

震災後マスコミは、日本経済について色々な推測をしています。大きくは、復興需要があり日本経済は上向くという立場、もう一つは震災が日本経済の発展にブレーキになり経済は更に下降線をたどるという立場。

私は、現在のような社会環境なら、後者の立場を取ります。確かに日本経済は底力があります。しかし、今の政治体制や社会体制では、発展は無理ではないのか?と思われてなりません。色々な経済評論家や識者の意見は多様ですが、多数派は日本経済の先行きに厳しい目を持っています。決して甘くないと言っています。

それでは動物病院の開業環境はどうでしょうか。続きを読む
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