2011年06月07日

獣医療における最先端治療C

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    「免疫細胞治療「DC+CAT」を実施した骨肉腫症例」 

今回は、犬の骨肉腫に免疫細胞治療を施した症例をご紹介いたします。骨肉腫は、早期発見・早期治療を行ったとしても肺転移が高頻度に見られる、悪性度の高い腫瘍のひとつです。 この症例で用いられた免疫細胞治療は「樹状細胞(Dendritic CellsDC + 活性化リンパ球療法(CAT = DC + CAT療法」と呼ばれ、前回お話ししましたCAT療法と、腫瘍を認識しその抗原を提示する能力を持つリンパ球であるDCを培養・増殖させる、という2つの療法を組み合わせた治療法です。 CAT療法は「免疫力の底上げ」を狙った治療法であり、活性化したリンパ球がすべて腫瘍を攻撃するとは限りません。
しかし、抗原提示能を持つDCを増やし、抗原である腫瘍を他のリンパ球に認識させることができれば、より効率的に腫瘍細胞を攻撃できるようになります。分離したDCに腫瘍抗原を提示させるにはがん組織と共培養して感作させる必要がありますが、腫瘍やその周囲に直接注入できる場合は共培養は必要ありません。

この症例では、断脚と同時に採血し、DC + CAT療法のための培養を開始。術後43日までに3回のDC + CAT治療が行われました。そのころには断脚後の生活にも慣れ、調子も良く元気に走り回るなど、飼い主様の満足度も高かったそうです。
この時点で飼い主様の希望もあり、以降はCAT療法のみを術後85日までに3回、計6回(1クール)行われました。1クール終了後の検査でも異常は認められず、元気・食欲などQ.O.L.も向上していたことから、この段階で治療を終了されました。
その後、術後285日に肺転移像を発見。飼い主様の希望があれば、再度免疫細胞治療を行う予定だそうです。
この症例は、チクサン出版社「CAP20103月号に詳しく紹介されています。 骨肉腫における断脚のみ行った場合の平均余命は5カ月といわれています。
この症例では、それを倍以上経過した結果となりました。担当された獣医師様は、もし1クール終了後も継続的に免疫細胞治療を行っていれば、さらに良い結果をもたらした可能性もあり得るのでは、と考察されています。
 獣医学の世界でも、まだまだ始まったばかりの最先端治療法です。費用の面や治療効果の客観的評価など、乗り越えなければならないハードルがあるかと思います。より多くの獣医師様に細胞治療を導入していただければ、データの蓄積や活発な議論などにより、着実にハードルをクリアできるのではないでしょうか。
 次回は、幹細胞を用いた治療についてお話しいたします。


posted by 動物病院開業研究会 at 11:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 各種の獣医療サービスの紹介 | 更新情報をチェックする
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